普通の人は、「そんなことあり得ない」と思うでしょう?
しかしこのような奇跡的とも言える結果が得られる治療法が現実に存在するのです。
テレビの保険のCMなどで話題の先進医療やその他の治療法で
末期がんの患者さんの癌が消えたり、縮小したりした例が多数あります。
しかも手術不能と診断された癌がほぼ100%消滅する治療法もあるのです。
ところが普通の病院ではこれらの治療は受けられません。
癌を克服できるかどうかは、医者のいいなりの治療を受けるのではなく、
最適の治療を患者側で選択し、その治療が受けられる病院を、
受診できるかどうかにかかっています。
セカンドオピニオンという言葉はかなり一般的になり、ご存じの方も多いと思います。
癌という生命にかかわる病気の場合は、特にセカンドオピニオンが重要となります。
実際に癌の治療にあたっている臨床医たちは、自分の専門以外の治療法はそれほど詳しくありません。
これはちょっと以外だと思われるかもしれませんが、私の高校時代の同級生には医者が多く、某国立大学医学部の教授などもいますが、彼らと話をするとその理由がよくわかります。
いったん医師になってしまうと、日々患者の治療に追われ、自分の専門分野については一生懸命努力し、技術を磨き新しい治療法を勉強します。
ところが癌の種類、できた部位などにより担当の科も異なり、治療法も変わってくるわけです。
自分の専門からはずれると他の医師に任せることになるので、そちらの治療についてはあまり詳しくないというのが現実です。
つまり高度に分業化されていることが原因といえます。
そこで特に重要なのが、核物理学を使った先進医療や、免疫細胞を使った治療、癌細胞そのものの研究などについては、医師以外の学者・研究者が行っているので詳しいことは知らないし、先進的でまだ一般化されていない(健康保険が適用されない)治療をすすめるより、定型的な治療を行った方が責任を負わされることもないという医師の判断も働いているかも知れません。
私が重粒子線の素晴らしい治療効果の話をしても、癌治療の経験がある医師である友人さえ、知らないことがありました。
その重粒子線治療について少しご説明しましょう。
1980年代癌患者が急増する中で、当時の中曽根首相が「癌克服」をかかげ、東大原子核研究所から平尾康男(現東大名誉教授)氏らのグループを招き、世界初の重粒子線治療装置の開発設計と実用化に着手したのが始まりです。
さまざまな紆余曲折を経て、現在では炭素イオンを光の速度の70%まで加速し、癌細胞だけに高エネルギーの重粒子線をあてて破壊し、ほとんど再発しないという結果が得られています。
普通の放射線と違い、身体の表面に近い部分の細胞には害を与えず、癌細胞だけを破壊し、その奥の細胞にも害を与えないということから、副作用もほとんどありません。
手術不能の癌が、痛くもかゆくもない治療法で完全に消えてしまうということです。
手術が可能でも、例えば舌癌の場合、手術で切り取ってしまったら言葉を失います。
重粒子線治療なら、切り取ることをせずに癌細胞だけを破壊するので、舌の大半が癌に冒されていた患者さんの舌が、完全に元のきれいな状態に戻ります。
骨肉腫の場合でも、癌細胞が消滅して骨が再生され、きれいな状態に戻ります。
2010年にサッカーJリーグ、大宮アルディージャの塚本選手が大腿骨の骨肉腫と診断されたという
ニュースを聞き、私はチームの事務局にメールを送ってこの重粒子線治療を受けてくれることを願ったのですが、残念ながら私の声は届かず手術をされたようです。
塚本選手は全国の専門医を回ったようですが、どこへ行っても命を守るためには手術するしかないと言われ、手術に踏み切ったとのことです。
思うに、癌の専門医というのは自分の範疇の治療法しか頭になく、重粒子線治療などは全く想定外のことだったのかもしれません。
以前は群馬大学重粒子線医学研究センターのホームページで、重粒子線治療で実際に肺癌、舌癌、骨肉腫が消失した治癒例の写真が見られたのですが、現在は公開されていません。
こんなに凄い治療効果の重粒子線治療ですが、弱点がいくつかあります。
一つは、この装置がある施設が少ないこと。(2014年現在国内4カ所、2015年にもう一カ所稼働予定 )
もう一つは、転移し身体中にちらばっている場合や、血液の癌である白血病などは照射が不可能ということで、適応外になります。
そして、通常の放射線治療を一度でも受けてしまうと、やはり重粒子線治療の適応外とされています。
これは重要なことで、このことを知らないで通常の放射線治療を受けてしまうと、普通なら重粒子線治療が受けられる場合でも、受けられなくなってしまいます。
この重粒子線治療は健康保険の適用はありませんが、厚生労働省が高度先進医療に指定している治療法で、現在の医療保険で先進医療がカバーされている保険に入っていればその保険で治療費はまかなえます。
このように癌治療の知識があるかないかで、生死の分かれ目になる場合もあるということです。
幸い命は助かってもその後の生活が大きく変わってしまう場合もあるでしょう。
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